一昨年、昨年と2回御蔵島のドルフィンスイムに行き、もちろんとてもエキサイティングな体験をさせてもらったが、特に昨年はツアーのあり方に疑問を持ったのだった。(9月15日の“イルカ語が話せたら”をご参照ください)
うかつにもこの本、つい先日手に取って読んだばかり。モイヤー先生が1997年に出したこの本には、昨年9月に湧き上がった疑問に対する答え(ヒント)が書かれているように思う。
御蔵島周辺で観察されるミナミハンドウイルカの群れについて、1990年代に6年間にわたってモイヤー先生が調査した結果と、三宅島周辺の漁師さんなどの目撃情報及びその記録を基に記されている。
イルカの分類から始まって、御蔵島周辺にいるイルカの特徴、個体群について、食餌行動、社会の成り立ち、社会行動・・・・そしてドルフィンウォッチングと将来のエコツアーの展望までを、「6年間でほんの表面をなぞることができるようになっただけ」と言いつつも、海洋生物学者としての立場からモイヤー先生の意見が述べられている。
この本を読んでみて、御蔵島のイルカたちが季節によっては意外なほど遠くまで移動しているらしいこと、でもやはり子育てなどのデリケートな社会行動にとっては、御蔵島がサンクチュアリのようになっていること・・・などを知ることができた。
そして、たくさんの人が押し寄せるドルフィンスイムがイルカたちに与えるインパクトについて、わたしの懸念を少し軽減させてくれる考え方をモイヤー先生が持っていたことがわかった。
もちろん、先生が調査をしていた90年代と現在では状況が違うかもしれない。先生も、特に子育ての時期などは、ツアー主催者が十分な知識を持ち、細心の注意をしてガイドするべきであること、お客の方も「いつも必ずイルカと泳げるわけではない」ことを理解すべきこと(相手は野生の生き物で、海は水族館ではないのだから)は、モイヤー先生もハッキリと書いている。
そして何よりも、イルカとのふれあいを求めて来るわたしたちに対して、イルカは決して人間好きでもなければ、ましてや崇高な精神を持った神秘的な存在ではない、という意味の言葉が何度も出てくる。イルカは単なる海洋哺乳生物なのだ、ちょっと好奇心が強いだけの。この辺、やはりモイヤー先生は科学者だな~と思う。そしてそれは正しい解釈なのだろう。
この本を読んで強く思ったのは、「今度はレジャーとしてドルフィンスイムに行くのではなく、ドルフィンウォッチング、つまりじっくりと観察をしてみたい」ということだ。
それくらい、本書に書かれている御蔵島周辺のイルカの生態は面白く、特殊なものに感じられた。かつ、まだまだわかっていないことが多いのだ!
初めて御蔵を訪れたとき、御蔵島周辺の個体には名前がつけられていて、家系がわかっている個体もいる、ということを聞いた。おそらくそれが、モイヤー先生を中心とした調査の結果だということが、この本を読んで繋がったわけだが、果たして先生亡き後、今でもこのような調査は継続して行われているのだろうか?
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